研究室紹介
研究テーマについて
研究背景
日本では、年間約20万人の子どもが親の離婚を経験しています。離婚に先立って生じる夫婦間暴力(DV)や虐待の問題、養育費の未払いなどから生じる経済的な問題、離れて暮らす親と子どもの交流(いわゆる面会交流)を巡る問題、離婚後の親の再婚に伴って生じる問題など、離婚・再婚を巡る様々な社会的な問題があります。
これらの社会的問題を解決する一つの方法として、離婚後、親同士の関係、親子の関係をどのように再構築していくかという心理学的テーマからの取り組みが求められます。しかしながら、日本における研究はまだ少ない状況にあります。
研究テーマと展望
そこで、現在、以下の3つの観点から研究を行っています。
第1に、離婚後の父母や親子の関係性と子どもの適応(うつや不安などの内在的な問題行動、攻撃性や対人関係の問題など外在的な問題行動)との関連について、実証データを用いて明らかにします。得られた知見を用いて、離婚後の親子が離婚に対処しやすくなるための心理教育プログラムの開発・効果検証を行います。
第2に、子どもと一緒に暮らす親(同居親)が面会交流をどのように受けとめているのかを明らかにした上で、面会交流に影響を与える要因について検討します。
第3に、親が再婚した子どものいる家族(ステップファミリー)が、ストレスなく生活するために必要なことについて、実証データを用いて探索的に検討します。
さらに、今後は、
・離婚後の父母の葛藤を低下させるための効果的な働き掛け
・DVや虐待があった場合の親子に対するケアの在り方
・離婚家族に限らず、両親間(夫婦間)葛藤と子どものメンタルヘルスとの関連
ついても研究課題としたいと考えています。
これらの研究を通じて、子どもが親の離婚・再婚にうまく対処し、親の離婚・再婚に伴う苦痛が低下することを目指します。また、より良い親同士の関係、親子の関係を模索することで、親自身のストレスが軽減されることを目標とします。