研究内容

同居親の面会交流の受けとめとその関連要因

 面会交流とは、別居や離婚後に子どもと離れて暮らす親(別居親)と子どもが会ったり、電話や手紙などで定期的、継続的に交流を保つことです(法務省,2019)。欧米において、面会交流は基本的に子の発達や適応に良い影響を与えることが支持されており、日本でも、2011年の民法改正に伴い、面会交流は離婚時の協議事項として明文化され、養育費とともに取り決めが推奨されています(法務省,2019)。


 しかし、離婚後の母子世帯で面会交流を一度も実施していないのは、46.3%、過去に実施したもの現在実施されていないのは19.1%に上っています(厚生労働省,2018)。先行研究によれば、その背景には、”相手が面会交流を求めてこない” ”子どもが会いたがらない" "相手が養育費を支払わない"(厚生労働省,2018)、"連絡のストレス" "子どもの不安定" "子どもへの悪影響"(堀田,2019)などが指摘されています。また、面会交流を実施することは、親にとって一種の感情労働性を帯びるという指摘もあります(渡辺,2015)。

 

 面会交流について検討するにあたり、子どもの視点を取り入れることに加え、親(特に同居親)が面会交流をどのように受けとめているかという視点も重要であることが示唆されます。


 そこで、直原・坂野・安藤(2021)では、面会交流を継続して実施している子どもと同居する母親にインタビュー調査を行い、母親が面会交流を継続していくプロセスを示しました。


 また、直原・安藤(2020)では、離婚して子どもと同居する母親を対象とした面会交流の受けとめを測定する心理尺度を作成し、信頼性・妥当性を検証しました。さらに、直原・安藤(2022)では、面会交流の実施状況に関連する要因や、母親の面会交流の受けとめと母親の心理的適応との関連について明らかにしました。