研究業績
心理学研究 91, 4, 246-256 (2020)
離婚後の母親の面会交流の受けとめ尺度の作成と信頼性・妥当性の検証
著者
直原康光・安藤智子
カテゴリ
査読付学術論文
Abstract
本研究の目的は,離婚して子どもと同居する母親を対象とする面会交流の受けとめ尺度を作成し,信頼性・妥当性を検証することであった。離婚して子どもと同居する281名の母親が本調査に回答した。因子分析の結果,「面会交流は子どもの利益になるという信念」,「子どもや自身の安全への懸念」,「再婚にあたっての懸念」,「経済的支援への期待」,「父親への嫉妬」,「父親の子どもへの関心のなさへの失望」の6因子が抽出された。独自尺度の下位尺度は,高い内的一貫性を備えていた。また,State-Trait Anxiety Inventoryや Caregiving System Scaleなどとの関連が認められた。さらに,離婚形態,子どもの年齢,父親の暴力,面会交流の形態で尺度得点に差があるかをt検定や一元配置分散分析を用いて検討した。以上から,本尺度は,母親の面会交流の受けとめを測定する信頼性と妥当性を備えた尺度であることが確認できた。